脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第一章:階層構造、脳の階層性(系統発生) 3-0)脳の階層構造的進化 脳部位の機能的区分 大脳の機能的区分3-0-5)胎児の脳の成長(後半部分)

具体的には、7ヶ月目頃から聴覚系言語中枢(左脳の側頭葉の感覚性言語中枢:ウェルニッケ野)が発達し始める。それを受けて、胎内で胎児は、母親の心音(心臓の鼓動)や声や周りの音声を聞いている。
聴覚は誕生前から機能しているが、視覚は誕生後から発達し髄鞘化し始める。それであっても1歳半頃ですら、視力が0.4程度に達するに過ぎない。様々な感覚器官が機能しているとは言っても、成熟とは程遠く、単に基本的機能が働き始めたばかりである。
要約すると、脳では、(1)神経細胞自体が生産される時期があり、その次に、その神経細胞から(2)樹状突起や軸索が伸展する時期へと移行する。更にその後、神経細胞樹状突起や軸索を介して、他の神経細胞とつながり、それと並行して軸索が髄鞘化して行く。最後に(3)神経回路を形成する。
原始的な動物の神経細胞と、人の神経細胞との機能にはほとんど差がない。一旦構造の基本的要素(神経細胞)が完成すると、基本的要素そのものの進化ではない。例えば、視覚の進化が、古い部位の上に新しい部位が重層するという階層性(機能の細分化による複雑化)を採用している。つまり、重層化による複雑化へと進む。
例示:目⇒一次視覚野⇒高次視覚連合野(側頭連合野)⇒多感覚連合野(頭頂連合野)。
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