4-3)胎児の脳
母体内の胎児の脳が、全ての胎児で定まった構造に出来上がっていくのは、脳を形成する設計情報が遺伝子に全て書き込まれているからである。その遺伝情報が、流れ作業のように次から次へと順序立って現れ出(発現)して行くからである。
4-4)脳の形成順序は遺伝子によって
脳という器官は、全体が一律に一斉に形成されて行くのではなく、各部位が一定の順序で形成成長してゆく。形成後の成長発達段階は、遺伝子情報に従って、脳内で生じるミエリン化(髄鞘化)とシナプス形成(神経回路形成)という現象に根ざしている。
この内、髄鞘化は全て遺伝子情報に支配されているが、神経回路形成に関しては、基礎的部分はやはり遺伝子情報に支配されているけれども、その後(主に誕生後)の段階からは経験に大きく左右される。経験しないと、遺伝子によって形式された基礎的部分しか成長成熟しない。誕生後は、経験が、成長発達成熟の起爆剤である。
しかし、経験によって成熟すると言っても、臨界期(感受性期)があって、つまり、神経回路形成には有効期限があって、それを過ぎると、経験しても新たな神経回路の形成がうまく行かないこともある。言語では、実際にそういう事例が生まれている。
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