脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第二章:脳の発達(個体発生)、二段階の成熟 5)髄鞘化(ミエリン化) 脳部位や機能別髄鞘化の進行 大脳新皮質感覚系 聴覚と視覚

5-5-2)聴覚
聴覚の神経系には、胎生7か月になると聴覚が完成する。母体内に響く音だけでなく、おなかの外から響いてくる音(音域にかなり制限がある)をも聞き取ることができるようになる。視覚系と同じように、出生直後から髄鞘形成が始まるが、側頭葉の一次聴覚野へ向かう聴覚神経が出来上がるまでには更に時間がかかり、聴覚神経系全般が確立するのはだいたい3歳から4歳頃である。
というのは、側頭葉には言語に関わる脳部位が存在するからである。聴覚情報を溜め込んで、1歳前後に1語文が出始め、3歳から4歳にかけて急激に言語能力が高まる。この現象も、この聴覚の神経系の髄鞘形成が大きく関係する。
5-5-3)視覚
視覚の神経系に関して、五感の中で一番発達が遅いのがこの視覚系である。触覚や聴覚と違って胎内では視覚はほとんど役に立たない。誕生直後から髄鞘形成(髄鞘化)が始まり、特に大脳新皮質第一次視覚野が視覚情報を処理し始めるのは、生後1ヶ月半頃からである。それは生後4~5ヶ月頃までに完成する。従って、誕生後4ヶ月~5ヶ月頃には、視覚的な知覚機能が確立する。生後4ヶ月頃から左右眼球の共同運動が確立することにより立体視能力が可能となり、5ヶ月までに急速に発達する。
注)知覚とは、感覚器官から入った情報を感覚として自覚し、更に種類などを分析して意味づける行為である。この意味付けは神経回路が行う。といってもこの年齢では、ほん基礎的段階にとどまる。

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