7-1-2)心と意識と注意
人の脳内状況には、大まかに三段階がある。
(1)まず最も広くて深い底辺階層(実は階層全体)が「心」である。ユングは、意識、無意識、集合的無意識、と心を階層構造として捉えた。個人の内部にあって、これら全てを包摂するものを心と、私は定義する。私は心全体をピラミッドの形だと想定する。
(2)心の内で上位に位置するが、より狭くて浅いが明るい階層が、見ようと努力すれば垣間見れる範囲である「意識」である。極大まかに言えば、前頭前野の範囲(脳部位)である。
(3)その意識の内で上位部分であり、意識よりも狭くて浅いが、最も明るい階層が、スポットライト的な指向性の強い「注意」である。この機能も前頭前野が主導権を持って扱う機能である。
言い換えると、
(1)心は、「体内にある過去に様々な手段で取り込んだ全情報と、現在進行形で刻々と取り込み続けている全情報」を抱え込む情報倉庫であり、情報処理装置である。
(2)意識は、心の中にあって「必要に応じて」参照できる過去と現在の情報処理装置で、「内省的視野内で見回せる」機能を持ち、作業台でもある。
(3)注意は、意識上で働く情報処理装置で、鮮明化したい対象に向かう働きで、夜の「サーチライト」である。
心と意識と注意の区分けを、海に浮かぶ氷に例えると、氷全体が心であり、その海面上に出た部分が意識で、その意識上での探索行為が注意である。
その意識下の心(水面下部分)を探索する行為が瞑想であり、心理療法である。心に沈み込んだ経験を意識の目を通すと、それは意識化できる、トップダウン探索可能な経験になる。
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