8-2-3)平衡感覚
平衡感覚は、耳にある前庭器官(重力と直線加速度を司る感覚器官)からと他の感覚情報も加わって視床を介して小脳と大脳(複数の領野が関わる)へと送られる。小脳では、周りの状況を判断する大脳から送り出された、視覚や聴覚や触覚などと、筋肉からの情報とを統合した上で、反射行動を統括する脳幹を介して、全身の筋肉に指令を出す。小脳は、このようにして身体の平衡を保つ反射行動を司る。それだけでなく、様々な運動調整機能を担う中心(中枢)に位置する。
8-2-4)嗅覚と味覚
生物の系統発生的にも、故に個体発生的にも、食べられる物を認識する機能として、嗅覚と味覚が早くから発達している。生物が(水に溶け出した味の)味覚だけでよかった水中生活から、陸上に進出したので(空中を漂う匂いの)嗅覚も必要になる。共に生命維持をする餌を獲得するのにとても重要な感覚機能である。
個体発生的にも、赤ん坊は誕生後すでに1~2日で、早くも母親の母乳の匂い(嗅覚)を区別できる。新生児は、味覚も利き分けられる。というよりも、逆に、新生児は成人より味覚が敏感である。草食動物にとって味覚は、生死を分ける極めて重要な情報源である。
成長して、大脳新皮質が成熟し始めることによって、物の名前と性質をも対応づけて、味覚と嗅覚とを総合的に記憶することができるようになる。つまり、言葉と食材や料理が感覚情報と共に統合される。故に料理のメニューを見ただけで、五感(特に嗅覚)をくすぐられる。部分から全体を推測(連想)できるようになる。
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