脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第三章:情報(知)の発達と階層性 8)感覚 8-2-7)構造としての感覚器官と機能

8-2-7)構造としての感覚器官と機能
上で述べたこれらのハードウェア(構造)としての感覚器官は、ほぼ誕生時には完成している。だが、ソフトウェア(機能)としての感覚情報(神経回路)の処理はそうではない。
例えば、生れつき目が見えなかった人が、視覚回復手術によって構造的に見えるようになった場合でも、視力が直ちに取り戻せない。まず明暗が回復し、次に色彩が認識され、長さ、大きさの視覚情報を獲得して最後に全体としての形が見えてくる。長い期間を費やして経験(情報蓄積)によって神経回路が獲得形成して行く。その神経回路の形成と共に視覚機能を獲得して行く。
その経験には個人差が大きくて、その結果、個性が生まれる。だが、手術が6歳を過ぎてからだと、完全な視力回復が困難となる。つまり、視覚(機能)は、見る(経験する)ことによって学習されて獲得される。しかも視覚機能獲得には臨界(敏感、感受性)期が存在する。感覚は、器官(構造)と機能(働き)と配線(髄鞘化)と神経回路形成で構成される。