脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第三章:情報(知)の発達と階層性 8)感覚 8-3)感覚と関連する脳部位

8-3)感覚と関連する脳部位
8-3-1)視床、感覚情報の通用門
大脳辺縁系扁桃体の下位階層に位置する「視床」(脳幹内間脳の一部位)は、脳のほぼ中央に位置して、左右に一つずつあり、間脳のおよそ4/5を占める神経核の複合体である。
嗅覚を除き、視覚、聴覚、体性感覚などの各種感覚系情報を大脳新皮質(一次感覚野)と扁桃体とへ分岐した上で中継する重要な役割を担う。感覚にとって最重要脳部位と言っても言い過ぎにはならない。
感覚情報は、すべての情報がそのまま素通りで伝達されるわけではなく、様々な感覚情報はここで統合され、選別されている。例えば、もしある対象に注意が向けられた場合には、その選ばれた対象物の五感情報を選択的に詳細に大脳一次感覚野に送り届ける。
それに関しては、抑制性細胞の集合体である視床網様核が中心的な役割を担っている。更には、前頭前野も、視床に対して、感覚情報の入り切りスイッチを持っている。
視床は、領域内を役割分担して、個別の感覚情報を扱う領域が存在すると同時に、単に大脳新皮質全般を(脳幹網様体からの働きによって)活性化させる領域も存在する。
ということで、視床は、感覚情報の通用門であると同時に検問所でもある。別の言い方をすれば、視床は、感覚情報の総合卸売り市場である。感覚情報はほぼ全てここに集められ、ここから各部位へと送り出される。
視床は、快不快程度であれば認識できるが、詳細な判定は大脳皮質の感覚野が担当する。

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