感覚情報の行動化(反射行動)
8-4-1-1)生得的反射
反射とは、特定の感覚入力情報(例えば、痛覚)が、定型的な身体反応を引き起こす行動である。例えば、押しピンを踏んでしまった瞬間、思わず痛いと足を引っ込めてしまう。この動作は反射行動である。感覚が入力してから身体が反応するまでの神経の伝達経路は、「生得的」で常に一定、定型で、上位階層(大脳新皮質)からの認知や判断などを必要とせず、あるいは受ける前に短時間(瞬時)のうちに起こることができる。
その内でも、神経経路(筋肉などの運動器官と最終判断器官)が脊髄内で完結するものを、脊髄反射と呼ぶ。
8-4-1-2)反射行動
大脳皮質が感知しない、潜在的に知覚された情報は、本人が制御できない無意識的な自動的反応を引き起こす、とは言ってもいつも目に見える反応とは限らないが。
例えば、意識にのぼらない感覚情報によって、小脳での運動反応のプログラムが修正される。つまり、小脳の働きは意識化され得ない。この場合は、反射行動とは呼ばないが。
別の例を挙げると、熱いものに触れた手を瞬間的に引っ込める場合は、手を引っ込める運動(反射行動)は、熱いと感じて危険を察知(大脳新皮質による認知)するよりも前に、開始されている。そして、その後に大脳新皮質が熱さを感じる。この反射行動を発現させる部位は、脊髄である。つまり、脊髄は、感覚情報の最初の判断拠点である。脊髄の働きも意識化され得ない。だが、脊髄が無意識で反応できる範囲は限られている。
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