脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第三章:情報(知)の発達と階層性 8)感覚 8-6-2)情報の蛇口、視床

8-6-2)情報の蛇口、視床
視床は、感覚情報の管理人で、入ってきた感覚情報の一部を脳内深く(大脳新皮質)に送り込み、他の情報の侵入を阻止する。全てを同時に送り込んでしまうと、情報であふれ返り混乱を招く。だから、視床が情報を絞り込んで、必要な情報だけを送り込んで集中力を高める。かくて瞑想によって、大脳皮質に流れ込む情報量は大きく減少する。具体的には、瞑想中に視床網様体が活性化して視床の働きを止める。そのことで、感覚情報が大脳新皮質に届かなくなる。視床は、感覚情報の蛇口である。
8-6-3)扁桃体の活動減衰
瞑想をしていると、感情刺激の処理をつかさどる脳の扁桃体の活動も弱まる。というのは、扁桃体も脳幹(直接経路)からと同時に視床(間接経路)からも感覚情報を受け取る部位なので、視床からの感覚情報を止めれば、活動が弱まるのは納得できる。
瞑想によって、扁桃体から発せられる情動行動を止めるので、相対的に扁桃体の情動行動を抑制する前頭前野が強くなる結果、感情を制御する能力が高まっていく。具体的には、情動に関わる内側前頭前野は、帯状回前部を介して、扁桃体と連携を強め、抑制的制御をする。瞑想によって扁桃体は縮小するという研究結果もある。

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