脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第三章:情報(知)の発達と階層性 8)感覚 8-6-6)デフォルト・モード・ネットワーク

8-6-6)デフォルト・モード・ネットワーク
実は、ボーッと過ごしている時でも、実際には脳の中ではいろんな雑念や想念が浮かんでは消えていて、それなりにエネルギーを消費している。ぼーっとしている時に、突如として名案が浮かんだりするのも、この働きによる。
それは、無意識に脳(前頭前野内側部、帯状回前部、側頭葉下部、頭頂連合野、後部帯状回、楔前部、海馬が同時活性する状態)が行う脳内「デフォルト・モード・ネットワーク」、というアイドリング機能が常に作動しているからである。
注)デフォルト・モード・ネットワークは、チンパンジーやサルだけでなく、ネズミにも存在する。
雑念という否定的なことだけでなく、肯定的には、その時に脳は得た情報を整理する。それによって、バラバラの情報同士がくっついて、新しいひらめきが起こったりする。善悪混交する。活性化するのは、空想(自由な想像)、未来の想像、記憶の取得、心の理論、発散的思考など、内面的思考に集中している時である。だが、瞑想時は、そのデフォルトモードネットワークの活動も低下する。
まとめると、瞑想とは、トップダウン的に反応を停止して、自然に上がって来る、ボトムアップして来る諸々の感覚情報、感情、欲求を、行為へとつなげることなく、静観する態度であると感じる。
8-6-7)その他の利点
瞑想の参加者は、学習や記憶に関連する海馬の灰白質密度が高まる。不安やストレスに関連する扁桃体灰白質密度が低下する。
思考や創造性を担う前頭前野の皮質が厚くなる。などの構造変化が見られる。
などなどと、瞑想、座禅の効用を述べたが、一種類の瞑想、座禅で全てが実現するわけではない。種類の違いによって、効果に大きな差が生まれる。
瞑想や座禅で集中力が高まり、脳が活性化されると、背外側前頭前野の機能が活性化する。

一流の頭脳

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脳のネットワーク

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