脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第三章:情報(知)の発達と階層性 10)知性、言語、思考、意識 言語 10-3-6-1)人の脳内言語構造

10-3-6-1)人の脳内言語構造
人の場合には、耳で聞いた声は、聴覚神経によって脳幹(視床)に伝わる。その後大脳新皮質側頭葉の聴覚野に伝えられる。ここで初めて音が語音(言語音)として認識される。つまり、音を言語として分類する。更に、側頭葉の別の部位で、音声語が意味と照合された上で統合されて、聞いた言葉の意味が理解できる。ここまでは受信である。発信する場合には、前頭葉で単語を組み合わせて言語による意思表示ができる。
子供の言語は、周りとのコミュニケーション(相互的意思表示)のために身につけられる。だが、次第にこの言語が自分自身の思考手段としても利用されるようになる。この心の中でのみ使われる場合には、内言という。さて鳥の場合はどの段階まで可能なのか。
10-3-6-2)三種類の言語野(言語中枢)
人にとって言語は本当に大切な機能なので、大脳新皮質に言語に関わる領域が三つもある。
(1)話し言葉(聴覚言語)の理解(意味解読)に関わるウェルニケ野(側頭連合野)
(2)書き言葉(視覚言語)の理解に関係する角回(頭頂連合野)
(3)発話(言語発信)を担うブローカ野(前頭前野)
これら三つの領域(側頭葉ウェルニケ野、頭頂葉角回、前頭葉ブローカ野)は、全て大脳新皮質に存在する。哺乳類の大脳新皮質は、哺乳類以外の鳥類や爬虫類などにはみられない。そのため、層構造をもつ大脳新皮質は哺乳類の誕生の直後に現われた進化的に新しい脳領域であることがわかる。
だがしかし、鳥類の大脳は哺乳類と並んで大きい。例えば、カラスの大脳には、霊長類と同程度の神経細胞数が含まれる。カラスが(ずる)賢いのも頷ける。