脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第三章:情報(知)の発達と階層性 11)精神、性格、意志、注意、理性 11-8-3)言葉の限界  

11-8-3)言葉の限界
人間は、感覚情報を受け取る。そして、それを知性情報として言葉化している。しかし、感覚情報と言葉化した知性情報との間には、なんら必然性はない。それらは恣意的な結び付きでしかない。だのに、人間は余りにも言葉に頼り過ぎる。そろそろ、私達人間は言葉から脱皮(超越)するべきである。人間世界の中で生きる時代は終わろうとしている。だが、感覚情報を言葉化しないでそのまま高度な知性情報として提供するのが、芸術である。
とにかく言えることは、宇宙を体系化するためには、言葉を捨てなければならない。宗教だけが真に宇宙を体系化することができるのだから。
私には実体験がないのでわからないが、言葉を超越した結果降り立った階層(第五階層)に住まう人々の言葉が、(仏教の)法、縁起、道(タオ)、自然法爾(じねんほうに)、悟り、あるがまま、などではないだろうか。
ということで、宗教>哲学>科学、である。だけれども、私は、教義(言葉による教え)に頼る宗派宗教に馴染めない。
11-8-4)知性の精神化
知性を精神化する。知性を精神化するとは、知性を一つに体系化することである。心の中に溜め込んだ情報を統合統一することである。
知性を意志化する。知性を意志化するとは、統合統一体系化された精神を行動で実現することである。つまり、知行合一化することである。
感覚情報を一つにまとめて感情化する脳部位は、扁桃体であった。その扁桃体は、感情を行動化する行動駆動装置を持っていた。それは、身体内に向けては視床下部であった。身体外部に向けての行動化は大脳基底核と脳幹である。やはり感情(扁桃体)よりも下位階層にある視床下部大脳基底核、脳幹が身体の活性化装置であった。
感情が、様々な感覚情報を一つにまとめあげる要の役割を果たしたが、知性を一つにまとめて精神化させる役割は、前頭前野が担う。
前頭前野は、最高階層にあって、トップダウン型指示を出す。知性によって計画を立て、目標を定める。前頭前野が、計画と目標を定めるに当たって、知識を総動員するために、目指す知識を探す手段が、狙いを定めるトップダウン型注意機能である。その注意機能は帯状回前部が担う。更にそれを行動へと差し向けるのは、大脳基底核側坐核である。
感情を行動化へと駆動する装置は、感情化する部分は扁桃体が受け持ち、行動化する部分を視床下部が受け持った。知性を精神化へと駆動する装置は、知性的部分を前頭前野が受け持ち、積極性を生み出す帯状回前部と更にそれを行動化する部分を受け持つのが側坐核であった。
実行機能を持たない知性はひ弱な紳士である。知性を持たない実行機能は野蛮である。