脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第三章:情報(知)の発達と階層性 8)感覚 純粋経験 8-8-1)善の研究、西田幾多郎

純粋経験
8-8-1)善の研究西田幾多郎
哲学者西田幾多郎が、自らの参禅体験に基づいて書いた、著書「善の研究」の中で、「純粋経験」をこう語っている。少々長いがそこから引用する。
「經驗するといふのは事實其儘に知るの意である。全く自己の細工を棄てゝ、事實に從うて知るのである。純粹といふのは、普通に經驗といつて居る者も其實は何等かの思想を交へて居るから、毫も思慮分別を加へない、眞に經驗其儘の狀態をいふのである。例へば、色を見、音を聞く刹那、未だ之が外物の作用であるとか、我が之を感じて居るとかいふやうな考のないのみならず、此色、此音は何であるといふ判斷すら加はらない前をいふのである」と。