脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

まとめ(あとがき) 階層構造

00)まとめ(あとがき)
受信装置としての脳について、三つの章にわたって述べてきた。だが、発信装置としての身体構造、身体機能についてはあまり述べていない。これは、この本の目的が、脳と脳の機能、脳の歴史的変化にあったからではある。
であっても、生物が進化する上で、環境からの情報収集がどれほど重大な課題であったかに圧倒される思いである。
環境にある情報を五感で捉えることが、そして更には、その情報を如何に加工処理するかが、生存競争において決定的重要事項である、という事情が、脳の進化をこれほどまでに促した、ということが、今回この本を書いてみてしみじみと実感した。

知の階層構造として、
(1)各種の感覚器官から流入する「感覚情報」
(2)それら感覚情報を束ねて、一つの判断(行動化決定)を下す「感情」
(3)各種感覚情報を客観性のある社会化された「知性」
(4)それら知性を束ねて行為(意志)化される「精神」、理性

それらと対応する脳部位の階層構造
(1)感覚情報の中枢である「視床」(脳幹の最上階の間脳)
(2)感情の中枢である「扁桃体」(大脳辺縁系)
感情は、個人(一生物)にとって最良最善最適であるとして下される判断である。欲求階層第一階層(生理的欲求)と第二階層(安全の欲求)
(3)知性の中枢である「大脳新皮質後部」(後頭葉、側頭葉、頭頂葉)
感情は個人性を旨とするが、社会生活を重視する生物としては、客観(社会)性を旨とする知性を知とするべきである。
(4)精神、理性の中枢である「大脳新皮質前部」(前頭葉)
知性を基にして、社会人として最良最善最適であるとして下される判断が、精神であり、理性である。

欲求階層説の第三階層(社会的欲求/所属と愛の欲求)、
第四階層(承認(尊重)の欲求)、
第五階層(自己実現の欲求)
社会で生きる者として、階層を登って行く。それを踏まえて、今思うことは、これほどまでに受信装置としての脳が進化をしたのだから、この受信装置としての脳を使って、どのような発信をして行くかが、人間に課された課題である、ということである。
その前に、今を生きる私達は、ビッグバンから始まった宇宙創成以来、まさにこの瞬間まで、延々と紡がれ続けた歴史を全て受け取る立場にある。それを思う存分に享受しながら、人生を楽しみましょう。
そして人生の後半になって皆さんは次の世代に何を手渡しますか。