3-3-3-3)トップダウン型記憶装置
例えば、単語や電話番号、名前、人名、花種類などを覚えたりといった、意識を介したトップダウン型顕在記憶(自分の意思で記憶して思い出せる記憶)は、海馬で処理され意識的な操作が可能な記憶(タグ付けされた)として一時保存される。それに対して、自分の意思では思い出せず、自然に無意識的に思い出すのがボトムアップ型潜在記憶である。
まとめれば、大脳皮質連合野で、感覚情報は、詳細に分析されて、空間認知や記憶など、高次の(より階層の高い)状況や文脈などと照合された上で、最終的に高度な統合という処理が施される。その情報は、改めて海馬に入る。海馬の中に入ってきた加工情報は、すでに視覚、聴覚などの感覚の所属タグが曖昧な超感覚情報(知性情報)に抽象化されている。つまり、大脳新皮質で処理された知性情報が海馬に転送される。海馬には、生の感覚情報も、高度に処理されたフィードバックの知性情報も入力される。情報がループされるにつれて高度化して行く。
海馬では、後方には個別に語彙が保存されているが、前方には包括的、要点的、グループ的に関連語がまとまって保存されている。