脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第一章:階層構造、脳の階層性(系統発生) 2)脳の重さ(と知能)2-2)脳重と知能

2-2)脳重と知能
今まで脳の重さを説明してきたが、念のために言えば、脳の重さは知能の絶対的指標とはならない。特に同じ種の間(同一種内)では。
その説明をする前に、脳化指数(動物の体重に占める脳の割合などから算出され、この数値が高いほど知能が高い)を示す。
例えば、人:0.89、イルカ:0.64、チンパンジー:0.30、象:0.22、カラス:0.16、犬:0.14、猫:0.12。
これを見れば、一見脳の重さは、知能の指標を示すようにも取れる。がしかし、これは種の間(例えば、チンパンジーと犬)での相対的差を示すだけである。
というのは、脳の機能や知能は、量(大きさ、重さ)だけではなく、質(働き)に依るところが極めて大きい。この後で詳しく説明して行くが、生物は進化するに連れて、脳は細分化され、それぞれの部分が様々な異なる機能を担っている。つまり、脳の複雑化に伴って、脳機能の分業化も進んで行く。その脳の機能も経験に大きく左右される。また使われる機能はたくましく成長するが、使われない機能は退化することも多い。
人間の脳は、とりわけ、重さや大きさというハードウェア面ではなく、そこで形成されていくソフトウェア面が圧倒的に重要である。知能の高さは、脳の大きさや重さとは相関関係は低い。脳も筋肉と同様に使わなければ衰え、使い続けることで、維持ないし改善されていく。