脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第一章:階層構造、脳の階層性(系統発生) 1)階層構造 1-4)階層構造の具体例(中半) 

1-4)階層構造の具体例

1-4-3-1)言語
例えば、日本語。文字(基本要素)を最底辺層と仮定する。いくつかの文字を結合して、例えば、文字「や」と「ま」を結合すると、山(やま)という語が形成される。この場合、「語」は「文字」よりも上位階層にあるという。
更に、語を組み合わせた、「山」に「登る」という「文」は、語の上位階層にある。このようにして、文よりも上位に「段落」が、段落よりも上位に「文章」が来る。という構成をするので、言語は階層構造だと言える。この例の階層構造は、私個人の恣意的表示であるが。
下位の階層ほど構成要素が単純で、上位に行くほど要素が複雑になって来る。しかも、上位の要素は、下位の要素を単に足しただけではなく、下位にはない新しい機能、意味、価値、法則などが発生している。これは、弁証法止揚である。

1-4-3-2)普遍文法
上で述べた言語では、上に行くほど結合が強くなる。その結合方法に関して、チョムスキー(アメリカ人の言語学者)は、基本的な文法そのものが人間に(先天的に)備わっているとして「普遍文法」の考えを提示した。
注)普遍文法とは、言語を獲得しようとしている子供の脳の中に、外にある文法を獲得することを可能にさせている、なんらかの生得的な統合システム(言語機能)が、心的器官として存在すると仮定した、脳内言語機能を意味する。
例えば、日本語を母語(第一言語)とする学生が、日本語の文法を学ぶ時に活動する脳部位(文法中枢)と同じ部位が、英語(第2言語)の文法を修得中にも活動する。つまり、文法中枢は、どの言語であろうと文法に関わって活動する、ということである。
注)ノーム・チョムスキーは、生成文法理論という言語学に新しい分野を生み出した言語学者である。
注)文法中枢は、人間の言語の文法処理に特化する左脳の前頭葉の一領域(ブロードマン44・45野[ブローカ野]と6・8・9野の一部)を含む。
文章理解中枢は、人間の言語の文章理解(語や文間の意味的なつながりなど)に特化する左脳の前頭葉の一領域(ブロードマン45・47野の一部を含む)。ブローカ野は、人間の言語機能が局在する領域で、左脳の前頭葉下部ブロードマン44・45野。

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