脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第一章:階層構造、脳の階層性(系統発生) 1)階層構造1-1)「階層構造」の基本型 (前半部分)

第一章:階層構造、脳の階層性(系統発生)

1)階層構造

1-0)前書きで、階層構造についてちらっと触れたが、その階層構造をこの節(セクション)「階層構造」で詳しく解説していきたい。ということでまずは、「階層構造」を図式的に表示する。

1-1)「階層構造」の基本型
階層構造は、一般的に次の10種類の特徴を持つ。
なお、階層構造は静(変化しない固定)的な構造ではないので、この印「⇔」の左項は、「階層を上がるに連れて」こうなるという意味を示す。同様に右項は、「階層が下がるに連れて」こうなるという意味を示す。

1)上昇(ボトムアップ・中心)⇔下降(トップダウン・周辺)、
2)成長(上昇、進化)⇔崩壊(降下、退化)、
3)普遍(総合・抽象・上位)⇔特殊・限定(専門・具体・下位)、
4)複雑(多様・異質性・質)⇔単純(一様・同質性・量)、
5)結合(自己組織化・統合)⇔分解(細分化)、
6)全体(マクロ・間接)⇔部分(ミクロ・直接)、
7)自律(閉鎖)⇔依存(開放)、
階層構造では、上位に登る程、秩序立っているが、下位へ下る程エントロピーが増す。そのエントロピーであるが、意味するところは、「無秩序な状態の度合い」(無秩序度)である。即ち、無秩序な状態ほどエントロピーは高く、整然として秩序の保たれている状態ほどエントロピーは低い。
エントロピーというものは、自然のままにほっておくと、常に増大し続ける。これを「エントロピー増大の法則」という。つまり、何もしないで放って置くと、何であっても崩壊するのだ。
故に、秩序化するためには、則ち、エントロピーを減らすためには、進化、成長、発達、発展して行くためには、上の図式で言えば、右項に持って行くためには、仕事をしなければならない。しかも仕事をし続けなければならない。
注)エントロピーという概念を考えると、1)~7)の次に、「秩序⇔無秩序」を加えることも有りかな、とも思える。