脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第一章:階層構造、脳の階層性(系統発生) 1)階層構造 1-3)階層構造の解説 前半部分

1-3)階層構造の解説

階層構造の構造部分に関する特徴六つ
先程、階層構造の基本的性質を述べたが、ここからは、その構造的特徴について述べたい。といっても、同じことを別の角度から述べただけなのだが。

(1)どんなものであれ、まずは、基本要素(基礎単位、最低構成要素)が作り上げられる。これが作り出されないことには始まらない。例えば、生物の最低構成要素は、細胞である。 音声言語の最低構成要素は、音素である。

(2)下位ほど構成要素が単純で、上位に上がるほど要素が複雑になって行く。例えば、原子は、原子核と電子から構成される。 原子核は、さらに陽子と中性子から構成される。原子(元素)の中で最も単純なのは、水素である。

(3)上位階層は、下位階層の要素を組み合わせて一つの「単位」(全体)を構成する。例えば、1mは、1cmを100個まとめて、一つ上の単位として作られたものである。英語(文字)は、アルファベットを最低構成要素として、その組み合わせで単語(例えば、dog)を作る。

(4)時間(歴史)的に、必ず下位の単純な要素で構成された階層から始まり、徐々に複雑な要素で構成された階層がその上に積み重ねられる。だから、歴史は必ず単純から始まる。ということで、歴史は、必ず進化する。が勿論崩壊が必ず途中で入るので、直線的進化ではなく、螺旋(スイッチバック)的進化という形で進む。

(5)階層の積み上げられ方は、「弁証法的展開」をして行く。なお、弁証法とは、「事物の変化や発展の過程を本質的に理解するための方法、法則」である。
基本的には、階層を登るためには、その階で通用する法則は棄てるが、それは、その階層毎に独自の法則を持っている、からである。それであっても、その階で使われている要素(基本要素)は、そのまま上位階層でも複雑に構成して使用する。
弁証法的展開は、螺旋(スイッチバック)的進化を別の表現で述べたものである。
弁証法止揚には、「捨てる」(否定する)と「持ち上げる」(高める)という、互いに相反する二つの意味を持ち合わせている。その階層で使う単位と法則は捨てるが、基本要素はそのまま持ち上げる。
例えば、遺伝子情報から突然変異(今までのものを否定して新しいもの)が産み出され、それを活かすことで、今までとは異なる新しいもの(今までのものよりも高められたもの)が誕生する。反が合することで階層が上がる。