脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第一章:階層構造、脳の階層性(系統発生) 3-4)大脳新皮質 3-4-1)大脳新皮質の構成

3-4)大脳新皮質

3-4-1)大脳新皮質の構成
大脳は、三つの脳部位から構成され、一番下に大脳基底核(行動担当)、その上に大脳辺縁系(記憶、判断担当)、最上階に大脳新皮質(知性と企画担当)、三重構造に成っている。
大脳新皮質の前半部は、情報発信(表出)を受け持つ。その内で、随意運動を司る(2)運動野と、更にその前には最終的総合的に判断を下す(1)前頭連合野(前頭前野)とで成り立つ。運動野と前頭前野とを合わせて、前頭葉(企画と実行指令)という。
後半部は、情報受信(受容)を受け持つ感覚野((3)側頭葉、(4)頭頂葉、(5)後頭葉)が存在する。
大脳新皮質の内では、前頭葉が一番広く全体の41%、次いで頭頂葉と側頭葉とが共に21%、後頭葉が17%を占める。
大脳新皮質(特に前頭前野)は、脳の中でも系統発生的には、最も新しい部位である。それと同時に、個体発生的には、最も遅く成熟(髄鞘化)する脳部位である。山に例えれば、前頭前野は登り道でふもとから最も遠い地点(山頂)であり、下り道で最も早く離れてしまう場所でもある。つまり、前頭前野は、成熟が最も遅く、機能低下が最も早い脳部位である。
注)階層構造では、下から形成されるので、最高階層の完成は最後であるのに対して、崩壊では真っ先に始まる。
様々な種の哺乳類の新皮質の構造には僅かな差しかない。だが、人の場合、前頭前野は、他の脳部位と比較して量的に増大する。それは、皮質を構成する細胞の数が、感覚野や運動野に加えて連合野においても増加するためである。

脳から見える心―臨床心理に生かす脳科学

脳から見える心―臨床心理に生かす脳科学

  • 作者:岡野 憲一郎
  • 発売日: 2013/07/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
ビジュアル版 新・脳と心の地形図

ビジュアル版 新・脳と心の地形図