3-3-5)側坐核とは
動物が、ある行動を取ったときに、その行動が生存競争にとって有利な結果に導かれた場合には、腹側被蓋野(脳幹中脳、衝動や欲望を司りドーパミンを分泌)からのドーパミン神経系が、扁桃体(感情的判断)、側坐核(行動化)、帯状回(自分事化、意識化)へ、「本人にとって良い行動だったとのプラス評価として判定情報を送り、その行動を記憶(扁桃体)」させる。
つまり、腹側被蓋野が、ある行動結果が有効だったと、情動担当の扁桃体と、行動担当の側坐核と、意識化の帯状回へ同時に送信する役割を担う。
このようにして、扁桃体に貯蔵された学習記憶された行動は、次からの行動パターンとして蓄積され、同じ状況では同じ行動が自動的無意識的に、扁桃体と海馬から腹側被蓋野に強力に情報が送り込まれる。
というのは、中脳の腹側被蓋野(行動化へのGOサインを出す)と、大脳辺縁系の扁桃体-海馬系(記憶を元に判定)は、判定情報のキャッチボールをしている。
それと側坐核の関係であるが、前頭前野のすぐ後ろの奥にあり、そこと緊密な神経連絡を持つ側坐核は、本人にとって良い行動をプラス評価としての判定情報を扁桃体から受信して、それに基づいて、行動を決起して、指令を大脳基底核(随意運動を無意識運動に転換)に送る。
つまり、側坐核は、運動系の中枢の大脳基底核に属する最も重要な神経核で、「行動化決定中枢」(動機付け機関)である。
三者の階層的関係であるが、中脳の腹側被蓋野(情報発信係)が属する脳幹の上に、大脳基底核の側坐核(行動決定部署)が位置し、その上に大脳辺縁系の扁桃体(感情的判定係)が重層する。更にはその上に前頭前野(知性的判断系)が覆いかぶさる。
ところで、あなたにとって、繰り返したくなるような有利な結果とは何ですか。快感、報酬、好き嫌い、あるいは恐怖ですか。私は、この時点で、欲求階層説を思い浮かべている。
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