脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第一章:階層構造、脳の階層性(系統発生) 3-0)脳の階層構造的進化 3-0-2-2)脳進化の粗略(前半部分)

3-0-2-2)脳進化の粗略(前半部分)
脊椎動物は、脳の主要部位の構成がどの脊椎動物であっても共通している。違いは、部位の大きさ、形である。であっても、それらが、脳の多様性をもたらす。その多様性は階層の深さ(高さ)の違いがもたらす。
注)脊椎動物:魚類(水中)、両生類(水際)、爬虫類(陸)、鳥類(空、陸)、哺乳類。()内は、主な生息域を示す。
脳の進化を知る手がかりは、系統発生的に、下等(生物史で初期に出現した)動物から高等動物までの脳を比較することで大まかに得られる。
魚類も、大脳、 脳幹(間脳 、中脳 、橋、延髄)、小脳といった主要な部位の全てが存在する。であっても、魚類では脳幹、両生類では中脳、爬虫類では辺縁系、下等哺乳類では大脳というように、動物が高等になるにつれて、主要な神経系(最高決定中枢)機能が次第に頭(吻)方に移動する。
両生類では、脊髄を持っているが、その上にある「脳幹」が脳の大部分を占めている。脳幹は、反射や、摂食、覚醒、交尾のような本能的な行動を司る。といっても反射的行動だけではなく、もちろん意図的行動も起こせる。魚類と両生類では、大脳には、生きていくために必要な本能や原初的感情をつかさどる「大脳辺縁系」しかない。
次に来る爬虫類の大脳は小さく、大脳の構成は動物が生きていくために必要な本能や恐怖などの原始的な感情を司る「大脳辺縁系」が主である。
大脳について新しく出現する脳部位に関しては、魚類で嗅覚に関わる旧皮質(大脳辺縁系)が現われ、両生類で記憶に関わる古皮質(大脳辺縁系)が加わり、新皮質は高等爬虫類において初めて出現した。鳥類や哺乳類になると、「小脳と大脳」が大きくなった。

三つの脳の進化 新装版

三つの脳の進化 新装版

脳の進化

脳の進化