3-0-2)脳の進化
3-0-2-1)使い回しの脳設計図
生物界に、脊椎動物(簡単に言えば、背骨のある動物)が誕生したのは4億年位前である。そもそも最初の生命が誕生したのは約38億年前。脊椎動物が誕生して以来、体の構造や仕組みは、例えば、魚と猫とではずいぶんと異なる。外形は、それぞれの種にとって様々な直に接する外的「環境」に適合するように、大きく変化させてきた。
しかし、脳の設計図は、生物が、情報処理系として、命を懸けて獲得して来て「遺伝子」として溜め込んで来たものである。例えば、魚類が獲得して来た脳の構造を哺乳類になっても変形改良して利用する、という方法を採用している。
つまり、極端に異なる実に様々な環境に直に接して、それに適切に対応して行く応答部位(外形、身体)は、環境に合う構造へと変化させていかなければならない。
しかし、環境から、体内に入って来る情報(アフォーダンス)は、魚であっても、鳥であっても、類人猿であっても、基本的に同じなので、それを処理する脳は使い回しが可能な部位である。例えば、世界中には実に様々な言語が存在するが、言語を要素分解して行けば、必ず音素に行き着く。その音素は、どんな言語であっても世界共通である。
魚の目から入る情報も、類人猿の目から入る情報も基本的には同じである。ただ大きな違いは、同じ情報を分析統合する生物側の能力だと言える。
単純は速さを誇れるが、複雑は正確さ(精密さ)を獲得できる。脳は、単純から複雑へと向かって進化している。
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