脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第一章:階層構造、脳の階層性(系統発生) 3-0)脳の階層構造的進化 脳部位の機能的区分 大脳の機能的区分 四種類の情報処理 3-0-6-1)感覚

四種類の情報処理
3-0-6-1)感覚
感覚は、種類としては、身体(諸器官)が感じ取った、触覚、温覚冷覚、痛覚、内蔵感覚、平衡感覚、味覚、嗅覚、聴覚、視覚などなどがある。なお、感覚という語には、「機能」(感じ取るという働き)とその結果手に入れた感覚「情報」という意味がある。
単細胞生物の鞭毛は、運動器官(ボートのオールのような機能)として働くだけではなく、力による変形を感じる感覚器官(触覚)としての機能をも兼ね備えている。このように感覚機能は、生物誕生の最初期から備わっていた。もちろん、単細胞生物は脳を持っていない。神経細胞すら持ち合わせていない。生物進化は、この感覚情報を多種多様に、また、多種多様な感覚器官から詳細に取り入れ、分析する能力の獲得に向けて進んで行ったと思える。
人の場合、視床(脳幹内間脳の一部で脳の深部に位置)が、視覚、聴覚、体性感覚などの様々なほぼ全て(例外は嗅覚)の感覚情報を主に扁桃体と大脳皮質(大脳新皮質)へ中継(蛇口のように感覚情報を開け閉め)する重要な役割を担う。ということで、視床は、感覚情報操作にとって極めて重要な要である。
注)魚類では、視床が果たしているような感覚機能の集中化は存在しない。
視床―神経科学の基礎と臨床〈9〉 (神経科学の基礎と臨床 (9))
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