3-0-6-2)感情
脳の中で、感情の形成に関わる部位のうち、一番重要なのは「扁桃体」(大脳辺縁系)である。感情には、扁桃体が下した評価、つまり好きか嫌いかに振り分けられた統一的評価を、体に伝える機能(メッセージ)がある。好ましい対象には好意的な快の感情、好ましくない対象には不快な感情が割り振りふられて発生し、それによってその後の行動が変化決定する。
特に、命に関わるような大事な判断を伝えている感情は、体の方に瞬間的に伝えるので情動と呼ばれる。
まとめると、取り込んだ多種多様な感覚情報を自分にとって、どういう価値なのかを判断したものが感情である。単細胞生物の触覚情報だけで判断、結論を出す段階であれば、感情と呼ぶまでもない(反射行動)が、人(生物)は、外界からの触覚、温覚冷覚、痛覚、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、平衡感覚などなどを、自分なりに優劣をつけて総合的な見地から、一つの結論を出さなければならない。その役割を担ったのが感情(扁桃体)である。感情の寄って立つ情報は感覚である。
- 作者:アントニオ・R・ダマシオ
- 発売日: 2005/10/28
- メディア: 単行本