脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第三章:情報(知)の発達と階層性 8)感覚 各種感覚受容器官 8-2-0)感覚とは

各種感覚受容器官
8-2-0)感覚とは
感覚とは、感覚器官を通して、対象の性質(色、音、匂い、味、肌触りなど)を感じた知覚(感覚情報を分析判断する機能)である。
ところで、目覚めている限り、視覚、聴覚、触覚、嗅覚などの感覚情報は、感覚器官から入って脳幹や視床を経由して、絶えず大脳辺縁系大脳新皮質流入して、処理され続ける。がしかし、行動や反応を結果することなく、また記憶されることもなく、とにかく次から次へと流し去られる、川の流れのように
8-2-1)身体図式
俗に言われる五感とは異なる運動感覚という機能が感覚の中にはある。それは身体全体の筋肉から来る感覚情報で、手足や胴体や頭などの体全体の位置情報があたかも地図のように形成されている。それを身体図式という。
それが脳(大脳新皮質頭頂葉後部)内に形成されている。経験が豊かになると、自転車、自動車、剣玉、包丁、スケートボードなどの道具をも身体図式上に身体の一部として取り込まれる。脳から見れば、身体の一部として見なされる。
8-2-2)痛覚経路
皮膚に擦り傷ができたり、火傷したりすると、その痛み情報は、末梢神経を通して、まず「脊髄」に入り、その次に「視床」に入力され、更に「大脳新皮質(頭頂葉)(身体図式)」に情報が送られ、その時点で痛いと感分かる。つまり、分かる段階は大脳新皮質に痛み感覚が届いてからである。
実は、痛みには2種類ある。1 つは痛みの認知系で、どこがどんなふうに痛いのか冷静な分析的認知的判断をする。この系は、大脳新皮質(一次体性感覚野)に痛み情報が送られる。もう一方は情動系で、痛みを苦痛(感情)だと感じる。それは視床から大脳辺縁系扁桃体に送られるからである。視床で認知系と情動系とに分岐する。この痛み感覚は途中(視床)で遮断することができる。

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