脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第二章:脳の発達(個体発生)、二段階の成熟 5)髄鞘化(ミエリン化) 脳部位や機能別髄鞘化の進行 大脳辺縁系(情動)

大脳辺縁系(情動)
大脳の髄鞘形成は大部分が生後に始まる。
5-4-1)帯状回
情動の中枢となるのは、扁桃体であるが、それと結び付きが強い大脳辺縁系帯状回髄鞘形成(髄鞘化)が起こり始めるのが、誕生後2~3ヶ月目ぐらいであり、10ヶ月目頃には、帯状回髄鞘形成が完成する。
この帯状回髄鞘形成に対応して、基本的な快不快の(扁桃体発信の)感情の発展形としての喜び、満足(快からの発展形)や、怒り、恐れ(不快からの発展形)など多彩な感情が示されたりする。
このように、帯状回は、感情の形成と処理、学習と記憶など、大脳辺縁系の機能と関わりを持つ部位である。つまり、出生後2~3ヶ月目ぐらいから発生する帯状回髄鞘形成が、新生児の快不快の、ただただ空騒ぎ的感覚性情動から、人へ向けての意思表示的感情的表出が起こり始めることと深く関わる。
注)帯状回は、大脳辺縁系大脳新皮質の間を取り持つ中継地といえる存在である。
5-4-2)脳幹~大脳辺縁系
誕生後1年から2年で、視床(間脳)、大脳基底核大脳辺縁系の一部が、髄鞘化される。だが、同じ大脳辺縁系海馬(記憶装置)は、生後2年までは未成熟である。
注)記憶には、ボトムアップ型記憶とトップダウン型記憶があり、ボトムアップ型記憶は早く(幼い時)から機能するが、トップダウン型記憶は、大脳新皮質が随意的に記憶するので、取り出しは、大脳新皮質が行わなければならない。ボトムアップ型記憶は、随意(意識)的には取り出せない。

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