脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第三章:情報(知)の発達と階層性 8)感覚 夢 8-7-1)瞑想と夢見


8-7-1)瞑想と夢見
瞑想の項で、眠ることで、視床を介しての感覚情報が大脳新皮質にほとんど入って来ない、オフライン状態になる、と述べた。そのことによって、意識による大脳新皮質(前頭連合野)からのトップダウン活動がなくなる。従って、ボトムアップをする脳幹(視床)が自発的な(主導権を握って)活動をして、大脳皮質を刺激した結果、大脳皮質に保存されていた記憶心像(イメージ)が自発展開している現象が、夢である。つまり、夢は下位階層の脳幹から無意識的に発生する。だから、夢見の脳の状況は、意識を作動させないと言う点で瞑想とよく似ている。
具体的には、レム睡眠中には、帯状回と内側前頭前野が活動して、感覚をつかさどる大脳皮質感覚野(特に視覚野)や、脳幹の橋が活動して感覚情報が送り出される。感情と記憶を司る大脳辺縁系(記憶を司る扁桃体と海馬)が活動している一方で、論理的な思考をつかさどる前頭前野(特に外側前頭前野)の活動が低下する。つまり、これが夢が現実かどうかの判断材料が入ってこない原因である。