脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第一章:階層構造、脳の階層性(系統発生)  3-1)下位脳部位(脳幹) 神経、神経系 3-1-1-1)自律神経

神経、神経系

3-1-1-1)自律神経
末梢神経の一つである、自律神経は、内臓、血管などの体内の働きを制御し、体内の環境を整える神経である。すべての内臓、全身の血管や分泌腺を支配している。自律と言う言葉が付くことで分かるように、意識しなくても、自動(自律)的に呼吸をしたり、消化のために胃を動かしたり、体温調節のために汗をかいたりするのは、自律神経があるからである。逆から言えば、意識(随意)が及ばない範囲(自治領)である。
中枢神経系に属す間脳(脳幹に所属)にある「視床下部」には、自律神経の総元締め役(自律神経の最高中枢)で、交感神経中枢と副交感神経中枢とがある。
中脳以下に位置する自律機能を司る中枢は、それぞれ呼吸運動や血管運動などの「個々の」自律機能を調節する。
例えば、延髄は、脳幹の内もっとも尾側の部分(最下部)であって、咳、くしゃみ、発声、嚥下中枢、唾液分泌、涙液分泌、発汗、嘔吐、呼吸中枢および循環(心臓中枢、血管運動中枢)、消化の中枢を有する。つまり、生命維持に不可欠な機能を担っていて自律神経の個別中枢(延髄は中間管理職)を有する。
延髄は、会社組織で言わば、課員部屋であり、そこで多数の課員が一つ一つの任務を担って忙しく働く。それを上から監視制御するのが視床下部である。
自律神経は、知覚(受信)神経や運動(発信)神経と違って、私たちの意思とは関係なく独立して働いていることを上で述べたが、私たちの意思(随意)で内臓や血管を自由に動かすことはできないので、植物的機能と呼ばれることもある。
このように、自律神経系は、生命維持にとって根幹的な機能を担うので、生後半年までに機能は成熟(この場合は髄鞘化ではない)している。