脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第一章:階層構造、脳の階層性(系統発生) 3-2)小脳 (その六)

(4)プログラムを基に運動を調整
このようにして、一旦小脳が完成した運動プログラムとして記憶してしまうと、小脳は、自らが主導権を取って、全身の筋肉の働きを互いに協調的に動くように大所から監視指示し、また巧妙で機敏な動きへとプログラムに基づいて調整する。更には、実行しながら、プログラムに磨きをかける。
そうなると、もう大脳(特に大脳新皮質運動野)の慎重なフィードバックは無用になって、小脳まかせで無意識(小脳主体)のうちに行動できる。要するに、大脳新皮質運動野が運動をすると決めてスイッチを入れると、後は自分がするという意識(随意)を取り去っても、無意識(小脳)に委ねられる。
注)補足運動野は、随意運動の開始の合図を出す機能を持つ。
つまり、脳(小脳)内に、モデル(自動制御で自動起動の運動プログラム)が完成すると、その後は、そのプログラムが中心になって、フィードフォワード制御で、スピーディーに行動できる。プログラムが自動的無意識的に制御するので、勝手(大脳新皮質不要で)に、無意識で、行動できる。コンピュータ的に言えば、ソフトウェアの作成完了で、後は運動開始の指示を出すだけで自動走行(オートラン)する。これは、機械(ロボット)の中に、自動制御できるソフトウェアを組み込んだのと同じことである。
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