脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第一章:階層構造、脳の階層性(系統発生) 3-2)小脳 (その七)

3-2-3-4)脳部位を示して説明
自我の位置から言うと、自分が意識的(随意)に運動する時、意思指令は大脳皮質連合野(前頭前野)から出される。それが高次運動野に送られると、不随意運動(様々な反射運動)を統合的に調整し、随意運動を微調整する、実行部隊指揮官(大脳基底核と小脳)にも伝達される。運動野が脳幹、延髄、脊髄を介して全身の筋肉に指令を出して、筋肉が反応することで運動が起こる。その時、筋肉や他の感覚から小脳と運動野にフィードバック情報が返される。その結果、小脳はプログラムに修正を施して磨きをかける。
3-2-3-5)運動機能の向上
このような運動関連の神経系は、10歳までに完成する。だが、小脳を中心に据えて生み出される器用さは、小さな年齢から使えば使うほど発達する。というのは、小脳は三層構造で、部分的ではあるが幼い頃から機能する。
なにせ、小脳は内部にマイクロコンピュータを3万個も内蔵しているスーパーコンピュータであり、繰り返した運動は、そこに自動的に記憶(プログラム)として蓄えられるので。そして、必要な事態には、自動起動して、適切なプログラムが働く。
余談だが、お酒が入って酔っ払うと、小脳の機能が低下して、体のバランスを保てなくて千鳥足になる。更には運動全般がぎこちなくなる。
5-2-4)結論として、小脳は、体で覚える記憶(手続き記憶:運動記憶)の中枢であり、スポーツやゲームなどの運動系記憶貯蔵庫兼再生装置である。まさしく、小脳は、運動実行用高性能コンピュータである。
パーキンソン病と運動異常( Movement Disorders) (アクチュアル 脳・神経疾患の臨床)
手と脳 増補新装版