3-3)大脳辺縁系
(3-3-0)辺縁系は動物に共通な機能
下等な哺乳類(例えば、ネズミ)では、大脳辺縁系が大脳の大部分を占めている。更に下位に位置する爬虫類にとっては、大脳辺縁系は最高脳部位(最高、最終決定機構)である。
とは言っても、哺乳類ならば、更にその上に大脳新皮質を有するが、人の場合には、大脳皮質が脳のほとんどを覆い尽くす程に発達している。もっと言えば、大脳辺縁系の上位に位置する大脳新皮質がほとんどで、更には、大脳新皮質の内でも、前頭葉が大きな部分を占める。
動物が高等になって行くほどに、新皮質の占める割合が大きくなる。それに対して、辺縁系の発達は、進化を停止したかのようにあまり種間差がなくなる。これは、辺縁系が、多くの動物に共通な機能となっているからである。それを超える機能は、新しく創発した大脳新皮質が受け持っている。
注)前頭葉は、人の場合には、大脳新皮質の41%の面積を占める。なお、前頭葉の占める割合は、チンパンジーで17%、サルで11%、イヌで6.9 %である。チンパンジーと人との前頭葉の差は、2.5倍近くある。その差か両者の差とも言える。