脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第一章:階層構造、脳の階層性(系統発生) 3-4)大脳新皮質 3-4-4)前頭連合野、前頭前野 3-4-4-2-3)前頭前野を更に細分化、五区分

3-4-4-2-3)前頭前野を更に細分化、五区分
上の三区分と被る区分でもあるが、外側を更に背側と腹側とに分け、内側をも更に背側と腹側(これは三区分の腹側と同じ)とに分け、新たに前頭前野内の前頭前野とも言うべき前頭極を加える。
(1)背外側部、
(2)腹外側部、
(3)背内側部、
(4)腹内側(底部)眼窩部(前頭眼窩野)、
(5)前頭極、
(1)背外側(前頭前野)部(8、9、46野)は、作業記憶(ワーキングメモリ)、注意、認知、実行機能を担う。
ここを障害して機能不全になると、一切の事柄に無関心になる。行動の開始と終了を自発的に実行できない。つまり、背外側は、行動の入り切りスイッチとして機能する。というのは、背側部は、前補足運動野(運動の手順を決定)、運動前野との結合が強く、認知的な課題に関与する。頭頂葉(空間情報)と強い連携を持つ。背外側部は、内側部と強い連携を持つ。
(2)腹外側(前頭前野)部(12野、45野、47野)は、右脳側が衝動性制御、反応抑制、行動の切り替え、注意の切り替えで重要な役割を果たす。つまり、入り切り(切り替え)スイッチの機能を持つ。
腹外側は、側頭葉(物体情報)と強い連携を持つ。腹外側部は、腹内側部と強い連携を持つ。言語発信を担うブローカ野(44・45野)が左脳側腹外側に存在する。発話行動の実行には運動野が担う。
(3)背内側(前頭前野)部(9、10野)は、額側にあって、左右脳が向かい合って隣接する部分であり、心の理論、社会性機能(共感)、エピソード記憶の回想を担う。例えば、自己評価を他者の視点から評価する場合には、背内側部が働く。とにかく、背内側は、他者に心を向けさせる。
(4)腹内側(前頭前野)部(眼窩部、眼窩前頭皮質)(11、12野)は、下位階層の情動、動機づけ(意欲)機能を持つ。具体的には、腹内側部は、扁桃体(海馬を含めて)と連絡を持ち、情動的な情報処理に関わり、意思決定において、速さ重視の判断には、この腹内側部が関わる。その後熟慮する時には外側部が関わる。
腹内側部は、腹外側部と同様に衝動を抑える機能を持つ。その為に、眼窩前頭皮質に障害があると、下位階層を抑制できないので、落ち着きのなさ、移り気という傾向が見られる。
(5)前頭極(前頭前野吻側部、10野)は、自己意識と自伝的回想。特に右前頭極は、自己に関する様々な記憶情報が蓄積される。前頭極は、社会性行動(協力、道徳)に強く関わる。前頭極は、脳の階層構造の最上階に位置する。というのは、前頭極は、未知の出来事に対するメタ認知判断中枢であるからだ。つまり、本人が、過去に体験した出来事は全て前頭極に報告が行っているので、これは未知の出来事だと確信できる。背側前頭前野は、これは既知の出来事だと判定できるが、未知だと判定するためには、全出来事の報告を受けていければならない。

前頭前野

前頭前野

  • 発売日: 2020/07/09
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