脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第一章:階層構造、脳の階層性(系統発生) 3-4)大脳新皮質 3-4-4)前頭連合野、前頭前野

3-4-4)前頭連合野前頭前野
3-4-4-1)前頭前野と情報
前頭連合野(前頭前野)には、全ての感覚情報と体内情報が集まる。そういう点から、前頭前野は、大脳新皮質の他の脳部位よりも階層が上であることがわかる。
前頭前野に入るそれらは、高度に加工処理された高次情報(知性情報)として入って来る。つまり、前頭前野は、感覚情報を視床から直接受け取っているわけではない、ということは、前頭前野は、感覚情報を直接加工処理することはなく、処理済みの情報を受け取る立場にいる。
注)前頭前野は、ブロードマンの脳地図、8野、9野、10野、11野、12野、13野、14野、44野、45野、46野、47野が該当する。
前頭前野は、
(1)後頭葉(視覚情報)、側頭葉(記憶と聴覚情報)、頭頂葉(体性感覚情報、空間情報)とをネットワークで結んで、オンライン(接続済みでいつでも利用可能な状態)で、そこから知性情報を取り出して一時的に保持しながら、それらの情報を取捨選択したり統合したりする。つまり、横関係(幾分斜め下)の大脳新皮質の脳部位と連携する。
(2)海馬と扁桃体などの感情や記憶や判断など、感情記憶情報系を司る大脳辺縁系とも密接に結びついている。それによって、それらを参照することができる。
つまり、同一階層内のすべての現在進行形の情報と、過去の記憶情報と、更には下位階層内の現在と過去の情報を参照することができる立場(最高階層)にある。
(3)(前頭)運動野、大脳基底核、小脳などの運動(発信)系とも密接に結びついている。このことによって、企画計画を実行する手段をも有することとなる。
上記(1)(2)(3)を自在に駆使して適応的な行動へと導く、あたかもオーケストラの指揮者のような全てをまとめる位置にある。
もう少し説明を加えると、前頭前野は、全ての現在進行形の感覚情報や過去からの記憶情報などを参照して、更には未来(目標)をも見据えての大所高所からの総合的な企画を立て判断を下し、それを実行するように行動指令を出す。
会社組織で言えば、社長であり、その判断決定を部下に降ろして行く。それを下位階層は分類分割して細分化した上で、下位の社員に降ろして実行させる。
下位階層になればなるほど、多数同時的分散並列型情報処理システムであるが、上位階層に上がる程に少数逐次的直列的中央集中型情報処理システムに向かう。

前頭前野

前頭前野

  • 発売日: 2020/07/09
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