脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第一章:階層構造、脳の階層性(系統発生) 3-4)大脳新皮質 3-4-3-1)ミラーニューロン

3-4-3-1)ミラーニューロンとは
前頭葉運動前野と頭頂葉の接する部位など複数部位に、「ミラーニューロン」が存在する。それは、他者の行動を見て、まるで自分がそれと同じ行動をとっているかのような反応をする、鏡の向こうに映る相手が自分であるかのような反応をすることからこの名が付けられた。つまり、他者の行動を自分の脳内に映し出しているように見えることから、それは、
相手の(1)行動を真似る、
相手の一連の行動を見て(2)心を推測する、
相手の心を推測した上でその(3)心に共感する、
機能を持つと見なされる。この機能は、サル(例えば、マカクザル)にも存在する。人においては、ミラーニューロンは、生後12ヶ月までに発達機能する。それによって相手の行動を真似ることができるようになる。
もっと経験を重ね、この部位が推測共感機能をも持つことによって、自分の考えと相手の考えが違うことを理解し、相手の立場に立って理解できる。それがだいたい4歳頃から可能となり始める。
行動の模倣、他者の心の推測、他者の心への共感は、段階的に発達するもので、(1)⇒(2)⇒(3)と、経験(知識)を積むことによって、育って行く。
3-4-3-2)ミラーニューロンの機能
ミラーニューロンは、経験した感覚的知覚と(自他の)行動の統合に関わることによって機能する。例えば、親が袋を破って、袋の中のお菓子を食べた。それを見ていた幼児が、袋を開けようとする。それは「模倣」行動である。相手がした行動を見て、そのまま同じことをする。見る行為とする行動を重ね合わせる。
その後の別の機会に、また親が袋を破っているのを見た幼児は、前の経験(記憶)から、親がお菓子を食べようとしていると、親の心を「推測」する。外面から内面(心、動機)を推測する。
幼児は、親が破った袋のお菓子を分けてもらって食べた。その時、美味しいと感じた。今親も同じく食べている。幼児は、親も美味しいと感じている、と推測する。この推測は、「共感」(相手と自分がある行動に対してめ同じ感情を共有すること)である。このように、模倣から、様々な経験を積むことによって、推測へと、更には共感へと至る。

ミラーニューロン

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脳から見える心―臨床心理に生かす脳科学

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