脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第二章:脳の発達(個体発生)、二段階の成熟 4)脳の成熟順序 4-1)脳は成長成熟する

第二章:脳の発達(個体発生)、二段階の成熟

4)脳の成熟順序

4-1)脳は成長成熟する
前書きで述べたように、生まれたばかりの赤ん坊が、新しい行動が次から次へとできるようになるのは、結論から言えば、脳の成長成熟による。とはいっても、勿論行動に移すためには筋肉が準備されているからでもあるが。極端に言えば、脳は情報(指示)を出すだけでは、行動するのは筋肉である。
この本では、話を筋肉(反射、行動)に関してではなく、脳と神経(情報処理)とに重きを置いて話を進めたい。
人間の赤ん坊が生まれた時点では、脳も神経もかなりが未完成、未熟な状態である。勿論、構造的にはほぼ完成しているが、機能的には部分的に完成されている程度である。
例えば、馬や牛は、誕生後、数時間以内に、立ち上がり歩き始めることができる。そうでなければ、たちどころに敵に襲われてしまうだろう。彼らは、身を隠す洞穴で子供たちを産むわけではない。見晴らしの良い草原のただ中で生活を営むのだ。
人間は、そういう点では、かなり未完成、未熟な状態で生まれ出て来るが、現代社会では、それへの対応はかなり整っている。
逆から見れば、未完成、未熟だということは、誕生後に、それぞれの機能をゆっくりと時間をかけて完成成熟させる余地が残っている、ということを意味する。人間の脳は、大きく変貌を遂げる可塑性を大きく秘めている。大器は晩成する。