脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第二章:脳の発達(個体発生)、二段階の成熟 5)髄鞘化(ミエリン化) 髄鞘化の形成される順序

髄鞘化の形成される順序
5-2-0-1)深部(下部)から表層部(上部)へ
神経細胞髄鞘形成の開始時期は、部位によって大いに異なる。一般に、深部の白質に始まり、表層部の白質はそれよりも1~2ヶ月程遅れる。髄鞘形成が完成するのも深部ほど早い。つまり、底から表層へと髄鞘化が進んで行く。これは階層構造的にかなっている。
また、髄鞘化は短期間で完成するものではなく、何年にも渡る場合が多い。だから、開始時期や完成時期が、かなり個人差もあり、また研究者の定義判定によっても変化する。
注)進行、成長、発達の順序は、一般的には、下から上へ、深部(底)から表面へ、奥から表面へ、後ろから前へ、裏から表へ、という原則がある。
5-2-0-2)髄鞘化と学習
髄鞘化の時期は、「遺伝的に決定」されているので、髄鞘化が完成する前に、その脳領域に関わる機能の学習や教育を子どもに与えても、効果は低いし、努力の割りに習得が中々進まないので、返って心理的に(嫌悪感を抱くなど)逆効果にもなりかねない。またあえて行っても髄鞘化は早まらない。
髄鞘化がなされた時期に、神経回路形式を促す意味で、その脳部位にふさわしい経験をさせるのが望ましい。啐啄同時である。