脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第二章:脳の発達(個体発生)、二段階の成熟 5)髄鞘化(ミエリン化) 脳部位や機能別髄鞘化の進行 感覚(運動)系(脊髄と脳幹を中心として)

脳部位や機能別髄鞘化の進行
感覚(運動)系(脊髄と脳幹を中心として)
5-3-1)感覚性神経と運動性神
各種感覚器官から中枢へと向かう求心性(感覚性)神経や、系統発生学(生物進化の歴史)的に古い領域では髄鞘化が早い傾向がある。例えば、脊髄神経には機能的には求心性(感覚性)神経と遠心性(運動性)神経とがある。
感覚(受信)神経細胞と運動(発信)神経細胞とでは、一般的に感覚系の方が早く髄鞘化される。受信系が発信系よりも髄鞘化が早い。
5-3-2)脊髄
皮膚や筋肉と直接連絡する末梢神経が出る、脊髄に存在する神経細胞には、胎生(母胎内)5ヶ月頃から生後1ヶ月頃までに髄鞘形成(髄鞘化)が起こる。
感覚知覚系の中で、最も原始的な働きに対応する脊髄後根細胞(末梢からの感覚情報の中継点として機能する神経細胞の集団)に、胎生(母胎内で)6ヶ月ごろから髄鞘形成(髄鞘化)が起こり、誕生後6ヶ月頃までに出来上がって来る。
脊髄の主な働きは、手足の筋肉を動かす働き(運動神経が担う)と、手足などの感覚を伝える働き(感覚神経が担う)である。
脊髄の髄鞘化に伴って、母体内や出生時の不規則な、無目的な、原始的な動き(脊髄反射)が発生する。そのことによって母胎内で胎児が動き始める。脊髄を最高判断拠点とする脊髄反射は、人間にとっては、無目的なランダムな行動である。

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