脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第二章:脳の発達(個体発生)、二段階の成熟 5)髄鞘化(ミエリン化) 反射行動から随意運動へ

反射行動から随意運動へ
5-2-3)赤ん坊は、運動系の神経の髄鞘形成(髄鞘化)が進むに従って、寝返り、はいはい、立っち、歩行と、次から次へと運動機能を獲得して、2歳頃までに、基本的、要素的な運動機能が確立してくる。
5-2-4)1歳~2歳で発生する、指先を随意的に操作する神経系(大脳新皮質運動野)の髄鞘形成によって、この時期の子どもは、小さな物を指先でつまんで、出したり入れたり、押したり引いたりするような遊びなど、手先の器用さを必要とする遊びに興味が向かう。これは、自分の意思(随意運動)で自分の指先を巧みに操作することができるようになった表れである。
このように、神経の髄鞘化は、基本的行動に関係する部位の髄鞘化の完成によって、身体を器用に操作できる部分が徐々に徐々に多くなって行く。大脳新皮質から橋を経由して小脳に至る情報経路の髄鞘化は生後1ヶ月頃から開始し、4 年間は継続的に進行する。
逆に、成人後加齢などで、巻かれていた髄鞘が剥がれ落ちて、神経伝達に障害が生じることもある。
注)ある神経回路には、数多くの軸索が並列して、他の神経回路と繋がっているが、その軸索の何本もが髄鞘面で損なわれていると、情報の流れがばらばらとなり、集団としての統合統一が損なわれることが機能障害の原因の一つである。これは、髄鞘化の途上でも言えるのではないか。

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