3-3-2-3)扁桃体内の役割分担
扁桃体の中でどんな反応をするかを担当する部位が内容によって異なる。例えば、敵との遭遇で、戦う反応、逃げる反応、固まる反応を担当する部分などに分かれる。あるいは、食べられるものに反応し、食べられないものに反応しない、食べ物判定部位もある。
つまり、扁桃体は、動物の生命に関わる二大関心事である、敵(不快)と食料(快)に直結する部位である。
側頭葉の内側部に隣接する扁桃体は、敵と食料の判定以外にも、社会生活を上手く営む為に、他人からの表情(特に、恐れ、怒り、嫌悪などの否定的な表情)や行動の意図を読み取る機能を、側頭葉と連携して受け持つ。
注)顔の表情を認知する脳部位は、側頭葉(物体情報)と後頭葉(視覚野)とが隣接する内側後頭側頭回(紡錘状回)である。扁桃体はそこに感情を添付する。
つまり、扁桃体の初期的基本基礎は、敵(不快)と食料(快)、有害(罰)か有益(報酬)かの瞬時の判定である。が、成長するにつれて、経験するにつれて、様々な脳部位と連携して、総合的判断を下せる立場にあるので、最終的には、とてつもなく重要な判断判定機能を持ち得る可能性を持つ。
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