脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第三章:情報(知)の発達と階層性 8)感覚 8-8-3)意識は心を上下する

8-8-3)意識は心を上下する
例えば、催眠は、意識を潜在意識段階に誘導する。普段の目覚めた意識では、到達し得ない深みにまで降りることを可能にする。このように意識は、心の中を上下する。睡眠時や瞑想時や催眠時には、覚醒時よりも意識レベルは下がっている。だが、残念なことに、その時の記憶がなければ、潜っても、陸に上がってから、見て来たことを活用できない。海に潜っても、魚介類を持ち帰らなければ、収穫はない。坐禅や瞑想では、目覚めた意識状態で、心の深くまで潜る作業である。
浦島太郎は、亀(陸と海を行き来できるもの、即ち、意識と無意識を行き来する行為)に乗って深い深い潜在意識の海に潜ったが、そこは時間も空間もない世界であることを、玉手箱で示している。玉手箱を開けたために、時間と空間のある現実世界に戻ってしまった。脳では、時間を主に前頭前野(特に左脳側)が作り、空間認識機能は、視覚聴覚など複数の感覚情報から、右脳が作り出す。瞑想で、感覚情報の流入を止めると、時間も空間もない世界に入り込めるのだろうか。