脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第三章:情報(知)の発達と階層性 11)精神、性格、意志、注意、理性 知性から精神へ 11-1)知行合一

知性から精神へ
11-1)知行合一
私は、上で述べたように、精神機能の一つであるべき知性を、精神から切り離した。というのは、知性は図書館(知の集合体)である。知性は行動する競技場にはなり得ない。
王陽明(中国明代の儒学者、哲学者、高級官僚、武将)は言う。「知行合一」と。「知は行の始なり、行は知の成るなり」(知ることは行為の始めであり、行為は知ることの完成である)。行動を伴わない知識は未完成(熟れていない果実)である。ということで、ここからは知性を精神化(行動化)する脳部位、脳システムを述べて行きたい。

精神と前頭葉
11-2)精神を、「能動的」で「知性的」な働きであると、ここでは限定的に捉える。精神は、知性的存在者の認識能力、判断能力、意志能力、の総称である。ということで、ここからは特に「意志能力」に関して述べて行く。
その精神が、行動面に現れるのが性格(自発的、主体的、意欲的、積極的、心優しいなどなど)であり、これも大脳新皮質(特に前頭前野)の働きである。大脳新皮質の内でも前頭前野は、創造(未来)性に大変関係が深く、物事を組織立てる働きをしている。それ以外にも、予測、推論、善悪の判断、衝動的な感情の暴走を抑制するなどの働きをする。
注)脳>大脳>大脳皮質>大脳新皮質前頭葉>前頭連合野(前頭前野)。