脳の階層構造的発生成長成熟

脳と心(情報)の並行する発達順序

第四章 運動(行動)の発達と階層性 12)運動の発達

第四章 運動(行動)の発達と階層性
12)運動の発達
12-0)このセクション(節)では
今まで、脳の階層性と、知の階層性を解説して来たが、ここでは、運動、行動、反射行動の階層性について解説して行きたい。とは言っても、既に、随所で、言及して来たので、まとめとして、見ていって欲しい。
と言うことで、予め、運動に関わる脳部位を示しておきたい。運動に関わる脳部位など。
1)大脳新皮質前頭葉運動野、2)(大脳辺縁系)側坐核(大脳基底核)、3)脳幹、4)小脳、5)脊髄、6)運動神経、7)筋肉。
階層構造全般に言えることなのだが、基本的には、上位階層に登るほど、守備範囲が広い。
12-1)前頭葉運動野(脳部位)
意志で動かす随意運動をした結果のフィードバック情報(発信源への報告)の流れを示すと、
受信経路:筋肉⇒脊髄、脳幹⇒前頭葉一次運動野⇒前頭葉運動連合野(高次運動野)⇒前頭連合野
運動野は、随意運動をする場合の発信に関わるので、前頭葉(前頭葉運動野)に属す。普遍的に、脳では、下位の階層ほど先天的に構築されるが、高次の階層に上れば上るほど後天的に学習(経験)によって獲得される。勿論生得性はゼロではなく基礎は形成される。
高次運動野は、運動の実行自体ではなく、周りの状況やその時の文脈を考慮しながら、運動の中身を選択、準備、切り替え、複数の運動の組み合わせなどに関して管理職的な関与をする。つまり、運動を目的を持って広い視野から状況適応的に発信させる役目を担う。
注)高次運動野は、スポーツ大会で例えれば、選手ではなく、選手がスムーズに競技できるように取り計らう運営者側に属す。
高次運動野は、大脳新皮質連合野から状況情報や途中経過状況など広汎に入力を受ける。他方、大脳基底核と小脳からも、運動の組み立て、構成や、調節に必要なフィードバック情報を受けている。
要するに、高次運動野は、随意運動発信と調節のための情報入力と、運動情報出力の橋渡しをする、総合司令部として働く。つまり、前頭前野は、目標を定め、それを具体化する企画を作成する。それを受けて、高次運動野は、具体的運動へと落とし込む。